氷が創る幻想的な宿。

北海道、新千歳空港から電車でおよそ９０分のところにある「星野リゾート　トマム」は、ザ・タワー、リゾナーレトマムの２つのホテルを中心に、季節ごとに北海道のアクティビティを堪能できる滞在型リゾートだ。
　冬に訪れる人を魅了するのが、アイスリンクや氷の教会が楽しめる冬季限定の「アイスヴィレッジ」。そしてその中でもさらに短い期間、姿を現すのが、すべてが氷で造られた「氷のホテル」だ。継ぎ目のない、１枚氷で象られたドーム型のホテルに１日１組限定で宿泊ができる。もちろん、就寝も氷のドームの中で。寒冷地仕様のシュラフで寒さをしのげるため、夢の中まで幻想的な気分でいることができる。

氷のホテルでとくに幻想的な気分に浸れるのが、白樺の樹々と広い空の下で入浴ができる「氷の露天風呂」。氷のホテル開業からおよそ１０年が経った頃、よりプライベートな空間でお風呂を楽しんでもらいたいとの思いから開設された。星空の下での入浴をさらに本格的にするため、昨年からは同じ占冠村しむかっぷむらから、湯を運び入れるなど、進化を遂げている。

シーズンごとに一から氷を積み上げて、ドーム、そして浴場が造られる氷のホテル。明かりが灯るのは、１月の半ばから２月末までのほんの短いあいだ。幻想的な氷の空間との再会を楽しみに、今から次の冬を待つ人もきっと多いだろう。

Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton