日本文化を象徴する
究極の湯船

今年新たに就航した豪華客船「飛鳥III」建造を依頼されたドイツの造船所は、郵船クルーズ社のデッキプランを見て「最も見晴らしのいいところに大浴場・・・日本人はクレイジーだ!」と驚いたという。外国の客船では珍しいその浴場は、計画通り高層デッキの最前部に設けられた。それほど風呂は日本人にとって大切なひとつの文化なのである。
今回浸かったのは僚船の「飛鳥II」の展望大浴場。国内建造ということもあり、風呂としての完成度が高い。6年前にリニューアルされ、ジェットバス付きの大浴槽、ドライサウナ、スチームサウナ、水風呂、そして露天風呂まで備える本格的な浴場となった。

その露天風呂がたまらなくいい。日の出直前、露天風呂には誰もいなかった。内風呂より1度だけ高い41度に設定されている湯にゆっくりと身を沈める。水平線に覆い被さっている雲が徐々に赤みを帯びてきた。普通の風呂とのいちばんの違いは揺れていること。船の揺れによって起こる波で、海に包まれているような錯覚をおぼえるのだ。
夜の入浴も格別である。海面に月明かりが反射して生まれた光の道が、こちらまで延びてくる。そんな光景と海風、波音、そして心地よい揺れ。入浴という行為を五感で味わうことは、もはやひとつの文化的行為に等しい。「飛鳥II」という客船は、まさに日本文化を象徴する究極の湯船と言えよう。

Text by Kundo Koyama
Photographs by Kei Sugimoto, NYK Cruises Co., Ltd.
飛鳥II グランドスパ
- 〒 世界中を移動
- URL : https://www.asukacruise.co.jp/asuka2
- 営業時間:5時30分〜12時、13時〜25時 ※時間変更あり
料金:乗船料金に含む