湯の記をはじめるにあたり…
茶が道になったように、日本特有の入浴文化も道になるかもしれないと直感し、それを湯道と名付けた。自分が生きているあいだにそれが結実するとは思っていない。遠い未来の記憶に「湯道」が刻まれたならそれでいい。自分の人生の足跡がその一助になるのなら本望だ。
湯道を世に問い始めてから2年が過ぎた。まずは作法らしきものを作ってみたものの、「湯道は作法にあらず、湯に向かう姿勢なり」という結論を得た。形ではなく心。湯に浸かり何を思い、何を得るかが、大切なのだ。形はいずれ自然と生まれてくるに違いない。とするなら、湯道の本質にたどり着くには、この国に存在するいい湯に浸かり、そこで閃いた文言を積み重ねてゆくことが一番の近道だと思った。
日本にはたくさんの素晴らしい温泉が存在する。江戸から続く銭湯という文化も守らねばならない。そして各家々にも他の国にはない特有の機能を備えた心地良い風呂が設えられている。あらゆる湯に浸かり、思惑を巡らせることで湯道が何たるかを私は知ることになるであろう。
平成30年
小山薫堂

湯は、人を生かす。
87
熊本県・阿蘇郡
- 地獄温泉 青風荘.
湯は、愛に沸かされる。
86
兵庫県・尼崎市
- 第一敷島湯
- 黒木 達也さん
湯の温度は、心が決める。
85
大分県・玖珠郡
- 寒の地獄旅館
湯は、
さまざまな奇跡を起こす。
84
和歌山県・和歌山市
- 花山温泉 薬師の湯
湯は、
和の価値の気づきとなる。
83
熊本県・熊本市
- 湯屋水禅 「浴司」
湯は、縁をつなぐ。
82
大阪府・大阪市
- 寿楽温泉
湯は、街と人を和える。
81
大分県・別府市
- 竹瓦温泉
湯は、
私を幻想の旅に誘う。
80
徳島県・三好市
- 和の宿 ホテル祖谷温泉
〜絹泡夢想の湯〜
湯は、
新しい自分をつくる。
79
愛媛・松山市
- 道後温泉別館 飛鳥乃湯泉「特別浴室」
湯は、静謐を湛える。
78
京都府・京都市
- HOTEL THE MITSUI KYOTO