日常の先にある湯の
パラダイス

日本の風呂文化史において、公衆浴場の歴史的なイノベーションと言えばスーパー銭湯ではないだろうか。それは、銭湯という日常の延長に贅沢を創造する場である。その元祖、日本初のスーパー銭湯が、名古屋市を見下ろす丘の上に誕生したのは1989年。その名は「天空SPA HILLS 竜泉寺の湯」。すべては、サウナ業を営む創業者・松永尚市さんの「サウナを安く、大衆化したい」という想いから始まった。健康ランド以上の設備で、価格は町の銭湯並み。スーパーマーケットのように風呂の種類が豊富であることから松永さんは「スーパー銭湯」と名付け商標登録を試みるも失敗。後にスーパー銭湯が新しい温浴施設の呼称として広く使われるようになった時、彼は商標が取れなかったことを喜んだという。

やがてリニューアルを重ね、息子たちに引き継がれて2年前に現在の姿となった。日本一の大きさを誇る高濃度炭酸泉や瞑想を促す「メディサウナ」、シングルの水風呂、露天には「天空ととのいエリア」が新設され、風呂好きを魅了し続けている。しかも平日850円で利用できるのは奇跡だ。その安さに「もっと高くすべき!」という声も多いとか。14種の湯船とサウナを堪能後、多くの人が昼間から食堂で生ビールを飲み、料理をつまむ。日常の先にある湯のパラダイスは、大衆文化として歴史に記憶されるのである。

Text by Kundo Koyama
Photographs by Kei Sugimoto
天空SPA HILLS 竜泉寺の湯 名古屋守山本店
- 〒463-0801 愛知県名古屋市守山区竜泉寺 1-1501
- TEL : 052-793-2601
- URL : https://www.ryusenjinoyu.com/moriyama/
- 営業時間:6時〜25時15分最終受付
料金:平日 一般¥850、子ども¥300 休日 一般¥950、子ども¥400