湯道百選

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岩手県・岩手郡雫石町

アズマファームコイワイ

AZUMA FARM Koiwai

湯道的
ラグジュアリーの極み

アマンを創業した、エイドリアン・ゼッカ氏がラグジュアリーと自然の融合を日本の伝統文化で再定義するプロジェクトの第二弾「AZUMA FARM Koiwai」が開業した。設計を担当したのは、第一弾の「Azumi」も手がけた三浦史朗氏。おそらく誰よりも日本の風呂文化を愛する建築家であり、実は映画「湯道」の主人公の名前も彼に由来している。瀬戸内の「Azumi」が海なら、こちらは山。ただし、旅館でもなければホテルとも言い切れない。岩手県の小岩井農場の広大な敷地内に存在するここは、ファームリゾートと定義されていて、ゲストは農場主のプライベートハウスに招かれた感覚で時を過ごすことになる。

盛岡駅からクルマで約25分、小岩井農場内の牧草地に位置する。農場内の森林で選定した木材100本を使用し、“土から生えてきたかのような”建築を目指した。

リビングの延長として存在する広々とした部屋風呂もいいが、「Forest Springs」と名付けられた3棟あるプライベートサウナの風呂が何とも素晴らしい。樹齢百年を越える桧を贅沢に使った山小屋風の空間の中心に二つの浴槽と薪ストーブが設えてある。しかもその浴槽を手掛けたのは、湯道工芸賞も受賞している木工芸家の中川周士氏。優美でありながら野趣溢れる削り出しの杉の浴槽には湯が張られ、釘を一本も使わずに組み上げた浴槽は水風呂として使用される。掛け流しの水は敷地内で掘削された井戸から。同じく温泉の掘削も進んでいるというから楽しみだ。全面開放した窓前の森から吹き込む心地良い風。薪の爆ぜる音を聴きながら、日本一の木工芸家の作品に浸かる。湯道を嗜む者にとってこれほどの幸せはない。湯道的ラグジュアリーの極みをここに観た。

浴槽と同じく、中川木工芸の中川周士氏によって設えられた湯道具。まるで最初からそこにあったかのように空間に馴染んでいる。


Text by Kundo Koyama
Photographs by Alex Mouton

アズマファームコイワイ

  • 〒020-0507 岩手県岩手郡雫石町丸谷地68-77
  • TEL : 050-4561-5181
  • URL : https://azumafarms.com
  • 営業時間:9時~21時 ※施設内のプライベート サウナ棟「Forest Springs」
    料金:一般 ¥55,000 ※2時間