湯道百選

64.5
北海道・富良野

十勝岳温泉 湯元 凌雲閣

TOKACHIDAKEONSEN YUMOTO RYOUNKAKU

山を訪れる人を癒す湯。


「湯元 凌雲閣」は日本百名山である十勝岳の麓にある。
標高は1280メートル、北海道ではもっとも高い位置にある温泉宿だと言われている。「この山の麓に温泉があったらどんなにいいか」、創業者のそんな想いから宿と温泉は生まれた。60年以上の歳月が経ったいまも、険しい道や過酷な寒さの中、山を登ってきた人々をやさしく迎え入れてくれる。

宿を切り盛りする三代目の青野範子さん

「凌雲閣」が有するのは、2つの源泉から引いた100%源泉掛け流しの湯だ。鉄分を多く含んだ褐色の鉄の湯と、透明の酸性の湯。内風呂は「大岩の湯」と「小岩の湯」があり、男湯と女湯は時間帯で入れ替わる。温泉は日帰り客でも入浴が可能。露天風呂からは、湯に浸かりながら、十勝連峰をゆっくりと眺めることができる。雪景色はもちろん、夏の緑や秋の紅葉など、季節ごとに様々な山の表情が味わえ、雄大な自然を肌身で感じられる。

特に寒さが身にしみる真冬には、凌雲閣は登山客にとってオアシスのような存在だろう。現在、宿を切り盛りするのは三代目の青野範子さん。祖父、両親の跡を継ぐために、一度は離れた故郷に戻ってきた。きっとこれからも、凌雲閣は山を訪れる人々を癒す場であり続けるはずだ。


Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton

十勝岳温泉 湯元 凌雲閣

  • 〒071-0500 北海道空知郡上富良野町十勝岳温泉
  • TEL : 0167-39-4111
  • URL : https://www.ryounkaku.jp/
  • 料金:(宿泊)¥10,000〜(1泊2食付き)
    料金(日帰り入浴): 一般 ¥800
    時間(日帰り入浴):8:00 - 20:00

旭川空港よりクルマで60分。温泉宿としては道内で最も高い標高に位置する。露天風呂からは、噴煙を上げる「安政火口」を眺めることもできる。湯は、皮膚に膜ができたようなしっとり肌になる「美人の湯」。