ヒトに還る場所

霧島連山を望む丘。その頂にある「天空の森」は、日本でも指折りのプライベートリゾートとして名を馳せている。広大な敷地に点在するヴィラは5棟のみ(うち宿泊ヴィラは3棟)。「天空」「茜さす丘」「霖雨の森」「花散る里」「つばめの巣」と名付けられ、それぞれの魅力を存分に発揮できるよう異なるコンセプトで設計された。
「夕日が美しく見える場所には、その夕日に合う建物を作っていく。『霖雨の森』という棟は、雨が降ると、木の葉を叩く雨音がとても美しく聞こえるんです。そんな『美しさ』や『いい風が吹いている』ということをきっかけに建物を作っていきました」

そう語るオーナーの田島健夫さんは、誰も体験したことのない新しいラグジュアリーを目指し、30年以上の歳月をかけて「天空の森」に向き合ってきた。ヴィラをはじめ、このリゾートで目に入るものすべてに田島さんの哲学が詰まっている。
「天空の森」がすべての人に向けて掲げるのは、「リゾートとは人間性回復産業である」というメッセージ。何を求めてリゾートを訪れるかは人それぞれ。社会での肩書きを一旦捨てて、心身ともにありのままで過ごしてほしい、という願いだ。

「リゾートは“人間”を“ヒト”にする場所。ここの温泉は誰からも見られないので、入っていてすごく気持ちがいい。お客さんは皆さん礼儀正しい方々ですが、温泉に入ったり出たりを繰り返すと、そのうちに服を着たり脱いだりする意味がない、という本質に戻るんですね。それが結果的に『ドレスコードは裸』に繋がるんです。皆さん人生を背負っているけれど、一回下ろさないとゼロのヒトになれない。下ろして普通のヒトになってから、素敵な世界が見えてくるのではないでしょうか」

常識や当たり前を超え、新たな感動を生み出してきた「天空の森」。プライベートリゾートとして完璧な世界を築いているように見えるが、意外なことに、田島さんにとっては未完成な存在だという。
「理想が叶うと次の目標に向かっていきますよね。ひとつ出来るとまた次のところへ……となって、全部未完成なんです。ずっとやり続けて、エネルギーを次に繋げないといけない。次の人に繋げていくことが、今の僕の夢ですね」
Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton
天空の森
- 〒899-6507 鹿児島県霧島市牧園町宿窪田市来迫3389
- TEL : 0995-76-0777
- URL : https://tenku-jp.com/
- 営業時間:10時〜17時(日帰りヴィラ)
料金:一般¥60,000〜(1組あたり日帰りヴィラ)
¥300,000〜(1組あたり1泊)
※いずれもプラン内容や時期により変動あり