銭湯を起点とした街づくり

奈良県御所市にある唯一の銭湯「御所宝湯」。2022年10月、分散型ホテル「GOSE SENTO HOTEL」の入浴施設としてオープンした。
「私たちの会社は古民家を活用する事業をしています。もともと御所市から『廃業した銭湯があるので復活させてほしい』と2018年頃に声をかけられたのがきっかけだったんです。当時、銭湯を手掛けていたわけではなかったのですが、御所が江戸時代からの街並みが残っているエリアなので、その建物を活用しながら宿泊施設とレストランと銭湯を一体的にやってみよう、という話になりました。3年が経ちますが、まだまだ手探りなところです」
開業に携わった株式会社narrativeの浦山志穂子さん。「過疎化が進む街の元気を取り戻したい」と御所市からの依頼を受けたnarrativeが、地域の企業と共同出資をして会社を設立。銭湯の復活と地域の活性化に力を注ぎ、今に至る。

前身の意匠を残しつつ、御所の銭湯としてより個性を発信できるよう、さまざまな工夫が凝らされた。たとえば浴室のタイルはそのままだが、銭湯絵師 田中みずき氏により、男湯と女湯のそれぞれの壁に御所の街を見守る金剛山と葛城山が描かれた。特に注目を集めたのは新設のフィンランド式サウナと外気浴スペース。セルフロウリュも体験でき、サウナ目当てで暖簾をくぐる客も少なくないという。
「地域の人、観光の人、銭湯にはいろいろなお客さんが来ますよね。御所市の高齢化が進んでいる中で、若い人や海外から来た人が混ざり合って、街の社交場にもなっています」

他にも、「銭湯」を起点にしたさまざまな形の街づくりや場づくりを浦山さんたちは進めている。
「空き家の古民家をリフォームして住宅として貸し出す事業をしているのですが、家にお風呂がないこともあるんですね。その代わりに、『住んでもらったら、宝湯が入り放題になります』としたり」
多様なアイデアによって支えられる街の銭湯。廃業から一転、観光の新たな拠点として輝く御所宝湯のように、生まれ変わる力を持つ銭湯や温泉が、日本にはまだまだある。
「地方の温泉街の再生などにお声がけをいただくこともあるので、特に地方の過疎地域で、街づくりと合わせた場づくりをどんどんしていきたいと考えています」
Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton
御所宝湯
- 〒639-2216 奈良県御所市御国通り2-361-5
- TEL : 0745-49-0823
- URL : https://www.gosemachi.com/takarayu/
- 営業時間:14時~22時(月~金)、11~22時(土、日、祝) 休 第2・第4水
料金:一般¥530、中人(6歳以上12歳未満)¥200、 小人(6歳未満)¥100、サウナ¥370