銭湯の未来、新しい選択。
おおよそ1年の休業を経て、8月22日にリニューアルオープンを果たした東京・錦糸町の銭湯「黄金湯」。新たなコンセプトは、グローバルでありながらローカルな「グローカル銭湯」。建物の設計は建築家の長坂常氏、ロゴマークやオリジナルグッズのデザインはアーティストの高橋理子氏が手がけた。旧・黄金湯でもDJやライブ、レコード市など、斬新なイベントを開催してきたオーナーの新保卓也さんと朋子さん夫婦らしい、昔ながらの銭湯の趣きと最先端のクリエイターの粋が融合した空間に生まれ変わった。銭湯好きに限らず、幅広い年代からすでに人気を集めている。
リノベーションの全体を取り仕切った高橋理子さんは、「設計を長坂常さんに頼むと決断することがいちばん大変でした」と語る。
「銭湯専門の設計ができる人にお願いをした方がいいのではないかという葛藤があって、3、4回は揺れました。でも未来のことを考えたときに、やっぱり新しい選択するというのもひとつの挑戦で、必要なんじゃないかということで長坂さんにお願いすることを決めました」
内装は銭湯ではめずらしいベージュが基調。これは肌の色から発想を得たという。随所に斬新さが混ざりながらも、以前と同じ木製の下駄箱を使い続けるなど、どこかホッとできる雰囲気も残されている。
「『デザインって何?』というおじいちゃんやおばあちゃんも来る場所なので。でも、そういう方にも『なんかかっこいい』と感じてもらえる場になっていて、不思議ですけど、すごいですよね」
もうひとつ、黄金湯で注目してほしいのは風呂場の壁画。銭湯好きの漫画家・ほしよりこさんによる作品だ。ある男の子が黄金湯に通い、
結婚をし、子どもが生まれ、その子と一緒に黄金湯へ足を運ぶ……と、黄金湯のある人生が描かれている。ほしさんは墨田区にもゆかりのある葛飾北斎をイメージして描かれたようで、ある年配のお客さんは「やっぱり北斎の絵はいいわね」と言ってくれたそうだ。
「銭湯は町のお風呂だから、もともとは地域のお客さんがいちばん。地域の人に来てもらえる、地域の皆さんに愛される銭湯というのが大切なんです」という新保夫婦の想いが反映された黄金湯のリノベーション。誰もが銭湯文化を楽しめる空間、そして未来の銭湯づくりの指針となる場になるだろう。
Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton
黄金湯
- 〒130-0012 東京都墨田区太平4丁目14−6 金澤マンション 1F
- URL : https://koganeyu.com/
- <営業時間>
平日・日曜・祝日 : 10:00-24:30
土曜日 : 15:00-24:30
定休日 : 第二・第四月曜日
※水曜のみ男女入れ替え日
<料金>
大人 470円(1時間30分)
中学生 370円
小学生 180円
幼児 80円
サウナ(平日)女性 300円 / 男性 500円(+1時間)
サウナ(土日)女性 350円 / 男性 550円(+1時間)
貸しタオル セット 200円
JR錦糸町駅から徒歩6分、ヒロコレッジの高橋理子さんの総合プロデュースにより、8月にリニューアルオープンしたばかり。ほしよりこさんによる絵巻物風の銭湯絵も必見!営業時間も10時〜24時半と異例の長さ。サウナの利用には男性+500円、女性+300円が必要となる。週に一度だけ、男女の浴槽が入れ替わるので、サウナ好きの女性は水曜を狙うべし!