復活を遂げた金桁温泉。
熊本県宇土半島の南側、宇城市三角町にはかつて1803年開湯の金桁温泉があった。明治時代には鉱泉浴場が開業、湯が火山の多い九州では珍しい炭酸泉ということもあり、当時は日帰りから長逗留の客まで人気が高かったという。しかし戦後は人気が落ち、賑わっていた宿屋は次々と廃業に追い込まれ、今から13年前に最後の一軒が店を畳んだ。
転機が訪れたのは2015年のこと。同じ三角町にある、明治20年開港の「三角西港」(写真上)が、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」のひとつとして登録されたのだ。新たな観光地としての盛り上げ、そしてかつて栄えていた温泉地の姿を再び見たいという声が高まり、金桁温泉は今年の7月に復活を遂げた。
なめらかな冷鉱泉の湯は、胃腸の病やリウマチに効果的。クセの少ない炭酸泉であるため、地元の人はもちろん、観光に訪れた人の肌も優しく包んでくれる。
周辺には三角西港のほか、有形文化財に登録されている龍驤館や、旧宇土郡役所など、観光資源も多い。これから先、思う存分観光ができるようになったとき、たくさんの旅人たちの疲れを癒してくれる湯になるだろう。
Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton
地域間交流施設
金桁温泉
- 〒869-3204 熊本県宇城市三角町中村381−2
- TEL : 0964-53-0303
- URL : https://www.city.uki.kumamoto.jp/q/aview/373/16775.html
- 営業時間:10:00-19:00(最終受付 18:30)
閉 館 日:毎週火曜日・水曜日(祝日にあたる時は翌)
入 浴 料:大人(中学生以上) 300円
子ども(小学生) 150円
未就学児 無 料
JRあまくさみすみ線、波多浦駅から約2.5kmの位置にある金桁温泉の新施設。世界文化遺産に登録されている「三角西港」からも、クルマで約10分の距離。
地域の人たちの交流が生まれる場所になることを目的に、2020年7月にオープン。特徴的な外観の、連続した三角の屋根は、この三角町を連想させるとともに、“つながり”を表現したデザイン。泉質は冷鉱泉。刺激が少なく癖のない、親しみやすい湯だ。