柳湯の日常。
(中谷博さん談)
お店が開くのは夕方の4時半で、水曜日と金曜日と日曜日が混み合いますね。いちばんは日曜日。寒くなってくると寝る前に入りにくるお客さんが増えます。お湯は井戸水を沸かして使っていて、店を開ける準備を始めるのは1時から。夏場は水の温度がぬるいから、火を入れるのはもう少しゆっくりです。うちの兄がボイラーとか釜場とか、裏のことを担当して、僕は店の表のことをやっています。脱衣場を掃除して、浴室を掃除して……。定休日の月曜日と火曜日には、細かい、目につきにくいところを掃除して。なんかねえ、僕は掃除ばっかりしてるんですわ(笑)。僕も兄も年だから、電池切れになりそうなときもあるんだけど、でもできる限りやっておかないとね。
お店が閉まるのは夜の12時で、夜中に来るお客さんも多かったけど最近は減りましたね。僕らも営業が終わってお客さんとお酒飲んで、それからまた2時とか3時からコーヒー飲みに行くこともあったけど、それは夜中に活気があった時代のことやね。
最近は一見さんとか、外国から観光で来るお客さんが多いです。僕もこの年から英語習わなあかんかな、思うくらい。特に中国の人が増えました。銭湯の入り方がわからずに、サンダル履いたまま湯船に入ろうとする人もいますから、身振り手振りで教えています。でも女湯には行けないからね、その時は常連のお客さんがいたら、ちょっとお願いします、いうて頼んでます。それから学生さんが友達を連れて来ることもありますね。この前も、ラグビーの試合帰りの学生さんが20人、来たこともありました。
まあ、風呂屋いうのは大変な仕事やね(笑)。大なり小なり、毎日何かしら起こりますからね。昔、30年くらいサラリーマンをやっていて、その頃は定時になれば仕事のこと忘れるけど、いまはずっと何かしら用事をやったり、厳しいことはないけどずっと考えたりしていますね。だから1日、何もなく終わったときが、いちばんほっとできる良い時間ですね。
※本記事は、2018年12月の時点の情報です。現在、柳湯は閉業しております。
Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton
柳湯
- 〒606-8364 京都府京都市左京区菊鉾町332 新柳馬場通仁王門下ル
- TEL : 075-771-8439
- URL : https://1010.kyoto/spot/yanagiyu/
- 料金:大人430円 小学生150円 幼児60円
営業時間:16:30~23:45
定休日:月曜日・火曜日
駐車場:なし