湯を愛する人の聖地。
山形県庄内地方の中心に聳える出羽三山は、日本三大霊場の一つ。村から最も近いところにある羽黒山は「現在」を表す山。古より信仰を集めていた月山は、「過去」を、そして湯殿山は生まれ変わりを果たす、「未来」の山。この三山を巡れば、生と死を体験し、生まれ変わりを果たす旅ができるとされていた。
標高1500メートル、中腹に行の山として知られる清浄神秘なる渓谷の神社、湯殿山神社本宮が鎮座する湯殿山。本宮に近い「湯殿山参籠所」に、湯の名所がある。“参籠”とは、一定の期間こもって神仏に祈願すること。この参籠所の地下にある浴室の湯は、御神湯として崇められてきた。源泉は19度の冷鉱泉で、湯はボイラーで加温されたもの。修行に入る前、身を清めるために入浴は欠かせなかったという。もちろん、今は一般の参拝者も入浴は可能。湯殿山の開山時期は6月から11月にかけて。1シーズンで900人ほどの人が、湯を求めてやって来るという。
霊場であり、湯を愛する人にとっての聖地でもある湯殿山。神秘的な山と湯の世界に、一度は足を踏み入れてみてほしい。
Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton
湯殿山参籠所 御神湯
- 〒997-0532 山形県鶴岡市田麦俣字六十里山 7
- TEL : 0235-54-6219
- URL : https://www.shoko-travel.jp/yudonosan_sanrousyo/
- ¥500(日帰り湯)¥8,800(1泊2食 付入湯税別)
庄内空港または山形空港からクルマで約1時間。湯殿山神社本宮は俗世とは切り離された神域。裸足になり、御祓いを受けてからでなければ、お参りできない。参籠所は、湯殿山唯一の温泉施設。源泉は18°Cの二酸化炭素鉱泉。湯殿山は6月〜11月上旬までの開山。