彫刻になる絶景の足湯

いまや全国各地にある足湯を、美術館として初めて設置したのが箱根にある「彫刻の森美術館」だった。日本屈指の名湯である箱根に存在し、広大な敷地を歩き回って鑑賞する野外美術館⋯⋯、ここに足湯を設置することは、実に理にかなっている。しかもその足湯が、開館55周年を記念して大きくリニューアルされ、魅力が増したのだ。
リニューアルのポイントは二つ。まず、これまで彫刻を鑑賞しながら浸かっていた足湯の向きを変更。箱根の山々を借景として、大自然を眺めながら足湯に浸かれるようになった。新しく命名された「森の足湯」という名にふさわしい環境である。

画像提供:彫刻の森美術館
もう一つは、足湯に使用した素材。彫刻でも使われる石に注目し、国内外の異なる産地の石を15種類集めて組み合わせた。大きいもので4トン。なかにはアンモナイトがそのまま埋まっている原石もあるので、色や模様を楽しむことができる。

そして肝心の湯がこれまた文句なしにいい。5本の源泉をブレンドしたナトリウム塩化物泉で温度は42℃。心地よい風に吹かれながら絶景の山々を眺めていると、10分とたたないうちに額に汗が滲んでくる。彫刻で心を潤し、足湯で体を癒す。ここに足を浸けたら最後、誰もがその心地よさに動けなくなり、彫刻のようになる。つまりあなたも、彫刻の森美術館の作品の一つになってしまうのである。
Text by Kundo Koyama
Photographs by Alex Mouton
彫刻の森美術館 森の足湯
- 〒250-0493 神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121
- TEL : 0460-82-1161
- URL : https://www.hakone-oam.or.jp/others/morinoashiyu
- 料金:無料(別途、美術館入館料として一般¥2,000)
営業時間:9時〜17時 無休