日本の風呂づくりの原点。
今回、おじゃましたのは日本を代表する給湯器メーカー「ノーリツ」代表取締役社長(※)の國井総一郎さんのお風呂場だ。
入社当時は、風呂釜の修理を担当。風呂釜を直し、お客様が喜ぶ姿を間近で見て自分もまた喜びを感じたことは、今でも覚えているという。
47歳で子会社の社長の座を任せられ、赤字だった業績を見事回復へと導き、その後2009年にノーリツの社長に就任した。
かつては製品開発も担当していた國井さん。ものづくりで念頭に置いているのは、安全で、省エネの商品を作ること。世の中をいま以上に便利に、そして機能的にすることも必要だが、高齢者の入浴事故を減らすなど、社会の課題を解決できる製品を提案していきたいと、國井さんは考えている。
実際に、現在ノーリツで人気が高いのは、スマートフォンのアプリで入浴者の“見まもり”ができる無線LAN対応の給湯器リモコン。人感センサーによる浴室への入室・退室を感知や、設定した入浴時間を経過するとアラームを鳴らせるなど、家族と遠く離れている場合でも入浴を通じて支えることができる。高機能過ぎると高齢者が使いこなせないという問題も出てくるため、操作部であるリモコンの開発には「使いやすさ」へのバランスも求められるという。
いまも忙しい毎日を送っている國井さんの趣味は、野球。最近まで高校生に野球を教えたり、自身も選手として試合に出場していたという。野球で汗を流したあとの風呂の心地良さは、きっと格別なものだったのだろう。母校の全国高等学校野球選手権の予選大会にはいまも欠かさず応援に行くという。
自宅で入浴をするのは、基本的に夕飯を済ませたあと。湯加減は“ぬるめ”が好きで、1年を通して40度に設定している。テレビを見ながらゆっくりと入浴するのがお気に入りだ。
家庭での入浴を当たり前にしてくれたノーリツの現代表は、日常の中の心も体も温まるひと時を、誰よりも楽しんでいるはずだ。
(※)
2019年11月8日 掲載の記事になります。
2020年10月以降、國井さんの現在の役職は、代表取締役会長。
Text by Chako Kato
國井総一郎さんのお風呂
- 〒 ※個人宅のため、非公開