湯道百選

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東京・墨田区

黄金湯

KOGANEYU

湯は、
挑戦心を駆り立てる。


「銭湯にはデザインなんていらない。身体があったまればそれでいい」・・・創業88年の銭湯をリノベーションするにあたり、建築家の長坂常さんは最初にそう言い放ったという。そして・・・構想から1年半を費やして完成した「黄金湯」は、わたしがこれまで見てきたなかで最も先進的かつ機能美に溢れ、何よりスタイリッシュな銭湯であった。

 番台には、DJブースとクラフトビールのビアサーバーを設置。古い装飾を剥がして露わにした躯体を活かしながら、必要な部分だけに手を加えた長坂ワールドは、建築好き・銭湯好きの若者たちをときめかせるだけでなく、何十年もここに通い続けてきた常連客の目にも新鮮に映るようだ。

店主の新保朋子さん、卓也さんご夫妻。姉妹店「大黒湯」も経営している。

湯船は、熱湯、薬湯、炭酸、水風呂の4槽。これにサウナが付くのだが、特に男湯側のそれはもはや銭湯の域を完全に超えている。麦飯石とヒバのオートロウリュサウナは12人が入れる広さ。その傍らには、水深90cmにして水温16℃の極上水風呂が用意されている。浴場内にあるもうひとつの水風呂は水温24℃。つまり黄金湯では水風呂で交互浴ができるのである。

男性側にある、水温16℃の水風呂。ボイラー室だったところを改装したため、
壁や天井にその雰囲気が見てとれる。この横には外気浴ができる場所も。

今回、店主の新保さん夫妻はクラウドファンディングによって約660万円を集めた。つまりそれだけ多くの共感が集まっている証だ。しかし実は、総工費の30分の1にも満たない。無謀とも思える投資を決意したのは、銭湯文化の灯火を絶やさないため。絶対的価値を生み出すには、これまでの銭湯を大きく進化させ、グローバルでありながらローカルに根付く「グローカル銭湯」に挑戦しなければならなかった。

 100年後、黄金湯は日本の銭湯文化におけるひとつの分岐点として歴史に刻まれているに違いない。


Text by Kundo Koyama
Photographs by Alex Mouton

黄金湯

  • 〒130-0012 東京都墨田区太平4丁目14−6 金澤マンション 1F
  • URL : https://koganeyu.com/
  • <営業時間>
    平日・日曜・祝日 : 10:00-24:30
    土曜日 : 15:00-24:30
    定休日 : 第二・第四月曜日
    ※水曜のみ男女入れ替え日

    <料金>
    大人  470円(1時間30分)
    中学生 370円
    小学生 180円
    幼児   80円
    サウナ(平日)女性 300円 / 男性 500円(+1時間)
    サウナ(土日)女性 350円 / 男性 550円(+1時間)
    貸しタオル セット 200円

JR錦糸町駅から徒歩6分、ヒロコレッジの高橋理子ひろこさんの総合プロデュースにより、8月にリニューアルオープンしたばかり。ほしよりこさんによる絵巻物風の銭湯絵も必見!営業時間も10時〜24時半と異例の長さ。サウナの利用には男性+500円、女性+300円が必要となる。週に一度だけ、男女の浴槽が入れ替わるので、サウナ好きの女性は水曜を狙うべし!