一期一会の湯。
鹿児島県霧島市には温泉の名所が沢山ある。背景にあるのは、およそ30万年前から火山活動が続く霧島火山帯。火山の地下で生成されるガスを含んだ湯が豊富に湧き出ており、炭酸ガスを含んだ湯ということで、昔から湯治場として親しまれていた。その中でも「妙見石原荘」は、一帯を代表する温泉旅館だ。
旅館があるのは、霧島連山から続く天降川の渓谷沿い。1万坪の広大な敷地内には、なんと7つも源泉がある。その源泉の近くに浴槽を設け、ありのままの湯を堪能できるつくり。源泉の温度はおよそ56度だが、熱交換器で温度を下げ、加水もしない。この一手間をかけることで、炭酸ガスが抜けずに新鮮な湯の提供ができるのだそうだ。
椋の木が屋根の代わりをしてくれる野天風呂、美しい木立を眺めながら湯に浸かれる大浴場、川の流れる様を目にしながら浸かれる足湯など、景観を生かした個性的な5つの風呂を楽しめる。露天風呂付きの客室も5部屋用意があり、こちらでも100%源泉掛け流しの湯に浸かることができる。
「温泉は生きもの。溢れ出す湯に、会いに行く」。石原荘が掲げるメッセージだ。霧島連山の麓、大自然に囲まれた温泉地は、四季を豊かに、鮮やかに映し出す。一期一会の湯を求めて、ぜひ足を運んでいただきたい。
Text by Chako Kato
Photographs by Kei Sugimoto
妙見石原荘
- 〒899-5113 鹿児島県霧島市隼人町嘉例川4376番地
- TEL : 0995-77-2111
- URL : https://www.m-ishiharaso.com/
- <日帰り>
営業時間:11:00~15:00(受付14:00迄)
料金:大人:1,200円/小人:600円
<宿泊>
¥25,000~(1泊1室2名利用時の1 名料金)
鹿児島空港よりクルマで約15分のところにある妙見石原荘は、1966 年に創業。滞在中は川沿いの5種類の風呂を愉しむことが出来る。霧島火山の恵みである温泉と地の素材を使った食事を存分に堪能できる宿。