湯道百選

46.5
奈良田温泉

白根館

SHIRANEKAN

"七不思議の湯"の魅力


南アルプスの麓、最寄りの駅からも車で1時間以上かかる場所にある「奈良田温泉白根館」。まさに”秘湯”という言葉がぴったりの温泉だ。
 湯は源泉100%掛け流し。一度はダムの湖底に沈んだ湯脈を、町の人々で掘り起こして復活させた歴史や、万病に効果がある、農作業で疲れた身体を癒す、など様々な言われに由来して「七不思議の湯」と呼ばれている。硫黄成分を含んだ白濁湯だが、朝は透明になったり、夕方には緑がかったりと色が変わるのも特徴。その理由はいまだによくわかっていないようだ。



3代目の深沢光司さんはお湯の魅力を「感触」だと言う。
「うちは手に入れた瞬間のお湯の感触が他とは違うと思います。父親は『他におすすめの温泉はありますか?』と訊かれると、『うちのお湯がいちばんです!』と返していましたね(笑)」

 もともと深沢さんは隣町の兄弟宿に当たる温泉旅館を任されていたが、そこを閉じ、3月に白根館を引き継いだばかり。しかし親子3人でも白根館の運営にも手が回り切らず、この春から宿泊は取りやめている。地元には高齢者が多く働き手が少ないのもその理由のひとつだ。ただ、白根館を愛する客や常連は多く、深沢さんは毎日のように「宿泊はいつ復活するの?」と言われるそうだ。そんな声もあり、10月からは、日帰り休憩プランを新しくスタートさせた。


「この町に魅力を感じて移住したり、商売を始めたりしてくださる方もいます。そういう方々と一緒に、なんとか助け合って、小さいながらも皆で生きていけるような町であってほしいと思います」

左から、2代目の深沢守さん、お母様、そして3代目の深沢光司さん。


Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton

白根館

  • 〒409-2701 山梨県南巨摩郡早川町奈良田344
  • TEL : 0556-48-2711
  • URL : http://www.nukuyu.com/shiranekan/
  • 料金 :1,000円(税込/一般)
    時間 :10:30~16:00まで (最終受付は15:30〆)
    休館日:不定期 *お電話またはホームページにてご確認ください。

JR身延線「下部温泉駅」から奈良田温泉行きバスで約1時間10分、南アルプスの麓にある山深い小さな集落が奈良田だ。「民俗学の宝庫」と称されるほど、独特な文化がのこり、奈良時代に孝謙天皇が行幸した際、八幡社に願掛けしたら温泉が湧いたと言う伝説がのこる。総檜造りの内湯2つと木と岩造りの露天風呂があり、日毎に男女交替制となっている。