湯道百選

35.5
石川・葭ヶ浦温泉

ランプの宿

LAMP NO YADO

人生の記憶に残る絶景。


石川県能登半島の先端、珠洲岬にある「葭ヶ浦よしがうら温泉 ランプの宿」。開業大正7年の老舗の宿ながら、ここ数十年は代表の刀祢とね秀一氏が海外の宿の視察を重ね、様々なエッセンスを取り入れてきた。小さな改装を重ね、現在の部屋数は14、うち9部屋が露天風呂付き。海を独り占めできる貸切風呂「波の湯」や、洞窟をイメージした大浴場など、風呂の種類も豊富だ。
「小さな宿なので、どれだけインパクトのあるものを作れるか、というのが課題でした」と、ランプの宿の支配人 古畑卓哉さん。なかでも貸切風呂のデザインは、代表の刀祢氏が自ら手がけたという。


写真上が貸切風呂「波の湯」外観、下が洞窟をイメージした大浴場。

珠洲岬から臨む絶景も人々がここに足を運ぶ理由の一つだ。
「春や夏の海は穏やかですが、冬になるとものすごく荒れるのでそういった景色の移り変わりを楽しんでいただくのが醍醐味ですね。この近辺は大きな河川がなく、海流の流れも速いので、水がとても透き通っていて本当に綺麗なんです。特に夏の海はとても穏やかで、大きな湖のようにも見えます」


他にも、宿の自慢は岬の「青の洞窟」のツアーや、地元で採れた季節の食材を使った懐石料理など。現在は約50名のスタッフで切り盛りをしており、地元で暮らす人がほとんどだという。
「朝・昼・晩と交代しながら、地元のおじいちゃん、おばあちゃん方が手伝ってくださっています」

 最近は、ヨーロッパやアメリカからの宿泊客も増えている。
「実はプロポーズをされる方が年間で100人以上いらっしゃいます。それを受けて、オプションとして『プロポーズプラン』を立ち上げました。通常はお受けしていませんが、海外のご夫婦で、ここで結婚式を挙げた方もいます。海外のお客様のリピーターも多いですね」
 市街地からは遠く離れた場所にあるが、豊かな自然と幻想的な雰囲気の宿、そして手厚いもてなしにたくさんの人が惹きつけられている。


夜は、ランプの灯りでよりロマンチックな雰囲気に。
プロポーズプランでは、シャンパンや花束の準備も相談にのってもらえるそう。


Text by Chako Kato
Photos provided by LAMP GALLERY

ランプの宿

  • 〒927-1451 石川県珠洲市三崎町寺家10-11
  • TEL : 0768-86-8000
  • URL : http://lampnoyado.co.jp/
  • 宿泊料金:¥22,150〜(1泊2食付/税込)
    貸切風呂料金:¥3,000(50分)

のと里山空港からクルマで80分、能登半島の最先端に佇む秘湯の宿。眼下に広がる日本海は、冬は荒々しいものの夏には一転、湖のように穏やかになる。「世界農業遺産」に登録された能登の豊かな食材を使った食事も魅力。写真(メイン)の貸切風呂「波の湯」は宿泊者であれば誰でも利用できる(要予約/有料)。