湯道百選

30.5
青森・八甲田

酸ヶ湯温泉

SUKAYU ONSEN

混浴文化を守り続ける秘湯

八甲田連峰の主峰・大岳の西麓、標高およそ900メートルの高地にある酸ヶ湯すかゆ温泉。農閑期は湯治客、初夏から秋の終わりまでは八甲田山の登山客、冬は山岳スキーを楽しむ人と、1年中賑わいを見せている。歴史は300年前まで遡れるほど古く、元々の名前は「鹿湯」。怪我をした鹿が温泉で傷を癒したという逸話が由来だが、その後、お湯が強い酸性であることから「酸ヶ湯すかゆ」へと名前が変わったのだとか。版画家の棟方むなかた志功しこうも酸ヶ湯を気に入り、湯治の傍らたくさんの作品を残したという。

館内の至るところに、棟方志功氏の作品が展示されている。

およそ10日を目安に行う湯治が人気だが、毎年7月の土用の丑の日に開催される「丑湯うしゆまつり」にもたくさんの人が訪れる。丑三つ時(午前2時)に入浴をすると1年間健康でいられるという言い伝えがあり、真夜中でもお湯に浸かる人の行列ができるほどだという。

300年の歴史があるということは、その分、お湯を支えてきた人がいるということ。現在は、湯守5年目である石澤いしざわ秀行ひでゆきさんが酸ヶ湯温泉を支えている。
「休憩も含めて、朝の4時から夜9時半まで勤務しています。朝、お風呂を開けて、お湯の温度を測って……。掃除は基本的に週1回ですが、人がいっぱい来た時はもっと頻繁に。全部の掃除が全部終わるのは、夜中の1時頃ですね」

現湯守の石澤秀行さん。混浴風呂の管理には、それなりの苦労もあるそうだ。

普段からアメリカ、中国、韓国、台湾など、海外からのお客様も多いという。混浴の温泉は今は日本でさえ珍しくなっているため、海外の観光客では尚更だろう。青森産のヒバで作られた大浴場は160畳もあり、「ヒバ千人風呂」と呼ばれている。しかし、本当に千人も入れるのだろうか? 
「せいぜい、350人くらい。昔の人は大げさだったのかな」と、石澤さんは笑いながら教えてくれた。

酸ヶ湯温泉

  • 〒030-0197 青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50番地
  • TEL : 017-738-6400
  • URL : http://www.sukayu.jp/
  • 料金:一般1,000円(立ち寄り・タオル付)
    時間:07:00〜18:00(うち、08:00〜09:00は女性専用時間)

青森空港から車で1時間、青森県の中央にそびえたつ八甲田山に酸ヶ湯はある。手負いの鹿が湯に浸かり、驚くスピードで傷を癒したことから「鹿湯」が名前の由来という説もある。卓越した効能と豊かな湯量などが認められ、1954年に「国民保養温泉地第1号」に指定された。泉質は、酸性の強い硫黄泉で、療養に適した温泉。版画家の棟方志功もこの湯を愛し、湯治をしながら作品を制作した。