湯は、
本物の贅沢を創造する。
2020年を契機にして、日本各地に海外のラグジュアリーホテルが続々と進出している。この夏、日本一の温泉地・別府にも「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」がオープンした。海外のラグジュアリーブランドが、温泉というニッポンの宝をどう料理するのか、期待に胸を膨らませながら別府へ向かった。
ホテルを統括するのはフランス出身のステファン・マッサリーニ氏。彼はこの地の文化に寄り添いながらも、ラグジュアリーの定義をこう語る。「伝統工芸の高級な器に料理を盛り付けることがラグジュアリーではありません。例えば、登山の途中に採ったキノコを山頂でシェフに料理してもらって食べる。この地でしか出来ない人生の記憶に残るような体験こそ、ラグジュアリーな時間なのです」
そして最も重要なのが、「海外のゲストにも日本の温泉文化の魅力を伝える」ということ。裸で入浴することに抵抗のある海外のゲストのために用意されたプライベート温泉は、これまで見てきた家族風呂とは一線を画していた。大開放の窓で切り取られる別府の山並みは、まるでアート作品のよう。バルコニーの代わりに設けられたインフィニティスタイルの浴槽は、湯と景色を一つにつなぐ。
空と山と海を眺めながら温めの湯にゆっくり浸かり、汗をかいたらベッドでひと休み。これほどシャンパーニュが似合う温泉は無い。
ここで過ごす時間に癒される。自然と今の自分に向き合える。気付けばそれが活力になる。本物の贅沢とはそういう時間なのかもしれない。
Text by Kundo Koyama
Photographs by Alex Mouton
ANA
インターコンチネンタル
別府リゾート&スパ
- 〒874-0041 大分県別府市大字鉄輪499-18
- TEL : 0977-66-1000
- URL : https://anaicbeppu.com/
- 客室料金:デラックスルーム 65,000円~(税サ込)
※料金はシーズンなどで変動します。
大分県初の外国ブランドホテル。異文化を融合させるべく、行政や地元の人の協力を得てコンセプトからつくり上げた。家族風呂の他に大浴場と巨石がふんだんに使われた露天風呂など風呂の種類も多彩。クラブルームとスイートにはプライベート露天風呂(内湯)も付く。日本旅館とは違う、ラグジュアリーな温泉を体感できる場所だ。