湯道百選

37.5
大分・佐伯

塩湯

SHIOYU

海からの贈り物。


大分の温泉街といえば別府だが、宮崎県との境目、南部・佐伯市にも名湯はある。海に面して建つ一軒の家屋「塩湯」。一見、観光地によくある休憩所のようだが、浴室は家族風呂が4室、男湯・女湯の露天風呂、さらにサウナも。汲み上げた海水をろ過して沸かしたお湯は、ミネラルが豊富で「美人の湯」と呼ばれるほど、浸かると肌がすべすべになるという。


併設されている食事処では、新鮮な魚介類を使った海鮮料理が楽しめる。たっぷりと具材が盛られた人気の海鮮丼は注文を受けてから店内の水槽から魚を捕り、さばくため、メニューには「当店はひじょーに時間がかかります」と注意書きが書かれていた。湯上がりに、これも名物の塩ソフトクリームを食べるのを楽しみにしている人も多いという。


「塩湯」の家屋はかつてヒラメの養殖場だった更地に、地元の漁師である坂本政治さんと恵美さんの夫婦が10ヶ月間かけて作り上げた。まさに夫婦二人三脚で一から築いた空間には、どこかあたたかみがある。週末には海が見える開放的な風呂と、穏やかな雰囲気の中で味わえる海の幸に惹かれ、たくさんの人で賑わうという。
 これから迎える夏本番。心地よいお湯と安らぎを求めて、たくさんの人が足を運ぶだろう。



Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton

塩湯

大分市内からクルマで南下すること1時間。豊後水道に面した漁師町に塩湯はある。透明度の高い海水をくみ上げ沸かした風呂で、塩分が汗の蒸発を防ぐので保温効果が高く、湯冷めしにくい。檜風呂のほか石風呂もあり、打ち湯・露天風呂・サウナも用意。併設の食事処で、地魚を豪快に使う海鮮丼が味わえるのも醍醐味のひとつ。