昭和の「普通の暮らし」。
京都の中心から遠く離れた山里、京北下熊田町。田中正則さん、なみさんご夫婦が切り盛りをする「五右衛門」。昔ながらの日本家屋、家の前には田んぼと畑と、いわゆる“古き良き日本の暮らし”を体験できる農家民宿施設だ。一棟貸しということもあり、家族連れの客が多いという。宿の名前の通り、お風呂はもちろん五右衛門風呂。
宿では野菜の収穫や、五右衛門風呂のための薪割りや火を付けたり、かまどで夕食を調理したりと、昔の日本の暮らしを田中夫妻と一緒に体験できる。実際、地域では野菜を自給自足する家がまだまだあるなど、作為的ではない日本らしさ、田舎らしさが残っており、それも家族連れが足を運ぶ大きな魅力の一つになっている。
田中さん夫婦に宿を経営して印象深かったことを聞くと、「全部楽しい」という答えが返ってきた。
「お客様はいい人ばかりで、帰られたあとはいつも『ああ、よかったなあ』と思います。いろいろな国、職種の人と会えるもの楽しいですね」
今、客層の半分は海外から訪れている。ハワイやブラジルの日系3世・4世の子どもたちが、日本の昔ながらの生活を知るために、宿泊することもあるという。国内では、京都市内からわざわざ泊まりに来る人もいるようだ。田んぼ、五右衛門風呂、かまど料理……日常ではお目にかかれない日本らしさを求める人は、絶えないようだ。
「日本の田舎の普通の暮らしを満喫してもらえればと思います。あとは、緩んでもらいたい。親戚の田舎の家に、久しぶりに遊び訪れたような気持ちになってもらえたら、嬉しいです」
Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton
五右衛門
- 〒601-0272 京都府京都市右京区京北下熊田町泓ケ2番地
- TEL : 075-855-1700
- URL : https://www.banja-kyoto.com/goemon
- 宿泊利用のみ。
料金:素泊まり¥22,000〜(2名利用時の1室料金、サービス料込)