湯道百選

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京都・京都市

京都銭湯 門前湯

KYOTOSENTO MONZENYU

二十四節気を味わう京の湯


かつて『湯道』という映画をつくった。都会で活躍する建築家が父親の死をきっかけに実家の銭湯を潰しマンション建設を企む。だが、そこに集う客と触れ合い銭湯への愛が生まれて存続を決意する物語。

門前湯の主人・吉本誠さんは一級建築士。90年前に祖父が始めた銭湯を継がずに建築会社に勤めた。だが父の急逝を機に戻り、いまでは3代目として設計仕事のかたわら銭湯を守っている。『湯道』を観た吉本さんは「これ俺やん!」と思わず叫んだらしい。

市バス「大徳寺前」から徒歩5分の場所にある。写真は門前湯を運営する吉本夫妻。3代目の誠さん(右)は湯を沸かすなどの裏方に徹し、家族や友人が番台に座る。

そしていまや京都浴場組合の理事長として京都銭湯を牽引している吉本さん。昨年末から京都市内の銭湯を巻き込み、「二十四節気 湯めぐり」を始めた。大雪、冬至、小寒、大寒、立春、雨水・・・・・・と、節気ごとに山本太郎画伯によるニッポン画のシールが配布される。それを湯めぐり帖に貼って二十四節気分集めるか、全銭湯をめぐりスタンプをもらうか。両方のコンプリートを狙うファンも現れている。

京都市内の全銭湯を対象とした「二十四節気 湯めぐり」は今年12月6日(日)まで実施。門前湯は露天風呂とサウナ、水風呂を兼ね備え、朝風呂も営業している。

京都銭湯の多くは地下水を使っていて、湯が柔らかい。自然の恵みと季節の移ろいを味わう贅沢。特に朝の光を浴びながら浸かる湯は最高である。その幸福をより多くの人に伝えたくて、吉本さんは毎朝7時に起きて湯を沸かす。日中は建築図面を引き、深夜2時の営業終了後に風呂を掃除して3時に就寝。この裏話を知った上で湯に浸かると、大徳寺にお参りするように手を合わせたくなるのである。


Text by Kundo Koyama
Photographs by Alex Mouton

京都銭湯 門前湯

  • 〒603-8216 京都府京都市北区紫野門前町29
  • TEL : 075-492-2314
  • URL : https://1010.kyoto/spot/monzenyu/
  • 料金:大人¥550 / 小学生¥200
    営業時間:9時~12時 / 15時~26時(月〜水、金〜土)、9 時〜26時(日)
    定休日:木曜日