湯道百選

89.5
大分県・別府市

別府温泉保養ランド

BEPPU ONSEN HOYOLAND

自然と職人が生み出す、
上質な泥湯。

日本随一の温泉名所として知られる大分の中でも、「別府温泉保養ランド」には希少な湯がある。それは“鉱泥湯”。適度な噴気と腐植粘土層、そして鉱泉と、3つの条件が揃って生まれるのが上質な泥湯だ。県内でも泥湯を有する温泉は3つほどしかないそうだ。保養ランドには屋内と露天に2つの鉱泥湯があるが、それぞれ成分も微妙に違う(屋内地下にある鉱泥湯の方が成分は強い)。肩こりや腰痛、体に痛みがある人が療養のために訪れることも多いという。

「お湯と一緒に噴き出す蒸気の量で温度を調整しています。蒸気で温度調整をするのはこの辺りではめずらしいことではないんです。山から湧き出てくる鉱泉がお湯のメインになっていて、それが大体32〜33℃。自噴の80℃の泥、そして蒸気を組み合わせて、うちの温泉が出来ています。温泉には“機嫌”があって、温度が上がりすぎないように大体40℃を目指して調整するのですが、3つのバランスが難しいですね」と、別府温泉保養ランドで部長を務める福田悠希さん。蒸気を利用する温度調整のほか、苦労するのは粘土のある鉱泥湯の管理だという。特に大掛かりなのが露天風呂。泥が出てくる層のギリギリまでお湯を抜いて、手作業で泥を掻き出して清掃を行う。泥が自噴している箇所は温度が80℃近くあり、また脈に触れて潰してしまうことを避けるため、慎重さが求められる。

「人工的に作れるものではなく、自然の力を感じられるのが鉱泥湯の魅力です。他の場所ではなかなかできない体験ができるのは自慢ですし、先代はよくこれを思いついたなあと思います。管理がここまで大変というのは、多分考えていなかったとは思いますが(笑)」

 昭和48年に創業した別府温泉保養ランド。露天風呂の女性エリアに仕切りを作るほか、館内の段差を減らす計画を立てるなど改善を進めている。貴重な鉱泥湯を求め訪れる人に心地よく過ごしてもらうため、少しずつ変化しながら、先代から受け継いできた鉱泥湯の伝統を守ってゆく。


Text by Chako Kato
Photographs by Kei Sugimoto

別府温泉保養ランド

  • 〒874-0840 大分県別府市明礬 5
  • TEL : 0977-66-2221
  • URL : https://hoyoland.net
  • 料金:日帰り  
          一般    ¥1500
          中学生   ¥1100
          小学生   ¥600
          5歳児以下 ¥350

        素泊まり(一泊)
            一般  ¥6500
            小人  ¥4000
            幼児  ¥2000 

    営業時間:9時〜20時

JR別府駅よりクルマで25分、1300年以上の歴史を誇る「紺屋地獄」は、自噴する鉱泥の温泉。1973年創業。