湯は、
和の価値の気づきとなる。
女将がこの風呂に込めた想いを、一言で表現するなら「和敬清寂」なのである。和=日本の美を五感で愛でる。敬=互いに尊び礼を尽くす。清=身も心もととのえる。寂=時の流れの美しさを受け入れる。
これらに、一期一会の相客に心して接する、という定めを加えて「水禅五則」と名付けた。
およそ350年前、熊本細川藩の大名庭園として築庭された水前寺成趣園。そのすぐ傍に佇む「松屋別館」の大浴場を、この春
リニューアルして誕生したのがLuxury Sauna & Spa「湯屋水禅」。「水禅五則」はルールではなく、推奨する心構え。五則を意識しながら湯に浸かれば、日本という国の価値を再発見するきっかけになる、と女将は考えた。そもそも千利休とも縁の深い細川家と縁のある湯主が、日本の文化や心を継承するきっかけをつくりたいと思ったのは、歴史の必然だったのかもしれない。細川家の協力によってもち込まれた数々の装飾品や美術品が、施設のあちこちにさり気なく展示されている。
さて、熊本はとにかく水がいい。阿蘇の伏流水を地下から汲み上げたミネラルウォーター。これを存分に堪能するため、茶室風のサウナが設けられた。汗を流し、天然のミネラルウォーターと人工ラジウム泉の交互浴を繰り返す。地元の檜を贅沢に使った和の設えによって心に慎みが生まれ、それがひいては心地よさに変わる。
湯道の精神を体現するこの場所に、「湯道温心」という湯道始まりの言葉を揮毫したことは言うまでもない。
Text by Kundo Koyama
Photographs by Alex Mouton
湯屋水禅 「浴司」
- 〒862-0950 熊本県熊本市中央区 水前寺5丁目 5-1 松屋別館 2F
- TEL : 096-213-1331
- URL : https://www.matsuyahonkan.com/suizen/
- 料金:(平日) ¥10,000(120分)~
(土日祝)¥11,000(120分)~
利用時間:7:00〜24:00 (最終予約)22:00
※貸切・完全予約制
最大定員5名・中学生以上利用可能
JR水前寺駅より、徒歩12分。
プライベートサウナ「浴司(よくす)」、大浴場&サウナ「大湯(おおゆ)」、コワーキングエリア「会所(かいしょ)」も併設。宿泊者以外に、日帰りの利用も可。