別府の日常を温める
"ジモ泉”。
日本随一の温泉地である大分県の別府。市内にある明礬、鉄輪、柴石、亀川、堀田、観海寺、別府、浜脇の8つの温泉地は「別府八湯」と呼ばれ、コロナ禍以前は年間で800万人、多い時には1千万を超える人々が温泉を求め、別府を訪れていた。
観光客中心の温泉人気が盛り上がる一方で、地元の人が入るための共同浴場の文化も奥が深い。別府の共同浴場は“ジモ泉”と呼ばれ、地元の住民たちが協力し合って運営しているケースが多い。日常に根付いた浴場として愛されているジモ泉の数は、今は100は下らないと言われているが、50年前には200ヶ所ほどあったそうだ。湧出量、源泉数ともに日本一である別府だからこそ、小さな浴場であっても新鮮な源泉が気軽に楽しめる。もちろん、観光客もジモ泉への入浴は可能だ。
そんなジモ泉を象徴する一つである「竹瓦温泉」は、明治12年(1879年)に創設された、100年以上の歴史がある浴場だ。砂の上に横たわり、温泉で温まった砂をかけてもらえる“砂湯”と、地下に設えられた浴場に入浴が可能。朝は6時半から営業していて、地元の人には早朝の入浴が好まれているそうだ。朝と夜の2回入りに来る、という人も多いらしい。普通浴の男湯と女湯、砂湯はそれぞれ源泉の種類が違うのも、別府ならではのこと。温泉どころに暮らす人々が、日常の一部として浸かりに通う湯。温泉巡りの旅の途中に立ち寄るのも、通でいいかもしれない。
Text by Chako Kato
Photographs by Kei Sugimoto
竹瓦温泉
- 〒874-0944 大分県 別府市 元町16番23号
- TEL : 0977-23-1585
- URL : https://www.city.beppu.oita.jp/sisetu/shieionsen/detail4.html
- 営業時間:普通浴 6時30分~22時30分
砂 湯 8時~22時30分(最終受付21時30分)
料金:大人¥300、小人¥100
※砂場別料金¥1,500(6歳以上入浴可能)
定休日:第3水曜(祝日の場合は翌日)
JR別府駅から徒歩約10分。竹屋根葺き建物が瓦葺きとなったことからこの名がついたと伝えられる。男湯と女湯で源泉が違うため泉質も違う。源泉温度は、男湯が約48.8°C、女湯が約48.9°Cと高温なので入湯者が水を足して調節。砂湯(別料金)は、浴衣を着て砂の上に横たわると、砂かけさんが温泉で暖めた砂をかけてくれる。