湯道百選

67.5
三重・志摩市

AMANEMU

「癒し」に必要なものが、すべて揃う宿。


東京に次ぐ日本で2軒目のアマンは、三重県志摩市の伊勢志摩国立公園内に建つ。その名も「アマネム」は、アマンでは初の温泉を提供するリゾートであり、豊かな自然に囲まれていることも相まって、「癒し」という言葉がとにかく似合う。
 アマネムの客室にはすべて天然温泉が引かれ、なかでもヴィラでは広々としたプライベート温泉が楽しめる。ヴィラは4タイプで、ナギヴィラ、ソラヴィラ、モリヴィラ、そして2020年4月にオープンした「ツキヴィラ」。庭に出れば夜空の月や星を見渡せることがその由来。ヴィラの中で最大の広さを誇り、滞在をより一層穏やかなものにできる。


温泉好きであれば、きっと夢中になるのが、ツキヴィラの別棟である東屋「Onsen HANARE」だ。「Onsen HANARE」には内風呂と露天風呂の2部屋があり、どちらもじっくりと湯に向き合える。より自然を肌で感じるには、もちろん露天風呂がおすすめ。木々を通じて四季を体感できるよう仕掛けが施されているため、春には桜、秋には紅葉を目にしながら湯に浸かるという、夢のような時間を過ごせる。
 また、2つの浴槽でお湯の温度を変えて交互浴をすることも可能で(温度計の無料貸出も)、スパのセラピストが、入浴による自律神経の調え方を丁寧に教えてくれる「湯治ガイダンス」が希望者には用意されている。


非日常的な温泉体験をしたい際には「Onsen HANARE」がうってつけだが、もちろん、他のヴィラやスイートにも敷地内の源泉から天然温泉が引かれているので、どの部屋でも身体を癒すには充分。
 アマネムのヴィラには、心と身体を癒し、調えるのに必要なものがすべて揃っている。広い空を一人占めして湯に身を委ねれば、それは人生において至上のひと時となるはずだ。


Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton

AMANEMU

日本における2番目のアマンとして開業。伊勢志摩の豊かな自然の中、日本旅館の伝統的な美学を採り入れたリゾートでもある。温泉だけでなくウェルネス体験に特に力を入れており、セラピストによる施術や地元の僧侶の協力による坐禅体験や説法など、心身ともに癒やされるプログラムを滞在客に用意している。