京都を五感で楽しむ宿。
祇園八坂エリアのラグジュアリーホテル『そわか』。昨年の秋に本館が、今年の3月に新館とレストランがオープンした。少し不思議な響きの宿の名は、サンスクリット語で「幸あれ」を意味する。由来について、支配人の矢島泰介さんに話を聞いた。
「京都の神社仏閣がある地域の宿なので、それにちなんだものがいいと付いた名前です。音の響きや『そわか』と平仮名で書いたときの柔らかさが、華奢で女性的な本館の建物にもよく合っていると思います」
『そわか』の本館は、大正後期から昭和初期にかけての数寄屋造の料亭をイノベーションしてつくられた。本館・新館の併せて23部屋ある客室は、すべてデザインや趣きが異なる。専用の庭がある部屋、長屋のように細長い部屋など……確かに柔軟性が高い。部屋の造りそのものは和室だが、「いまは布団で寝ている人の方が少ないこと、且つホテルのサービスを提供したい」という考えから、あえて寝室にはベッドを置いている。
「畳張りの部屋にベッドだけがドンと置いてあると、どうしても違和感があります。しかしそこにラグを敷いたり、床の間にお軸ではなく現代的なアートワークを飾ったりすると、モダンジャパニーズをうまく表現できる。昔ながらの建物を使うときに大切なのは、現代に生きる人が不自由なく、違和感なく使える場にしようと、考えることです」
『そわか』ならではの日本らしさを求めてか、いま、宿泊客の8割は海外から訪れてるという。
「個人的には、ホテルは京都のショールームのような場所だと思っています。建築家の魚屋繁礼さんをはじめ、左官職人、庭師、アンティークの調度品や寝具店など……ホテルに携わっているのは、京都にゆかりのある人やものがほとんどなのです。『そわか』を作り上げてきた職人の精神に触れて、京都を五感で感じていただければと思います」
Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton and Koyuki
そわか
- 〒605-0821 京都府京都市東山区下河原通八坂鳥居前下ル清井町480
- TEL : 075-541-5323
- URL : https://sowaka.com/
- 料金:¥50,000~/室(税・サービス料別)