湯道百選

113.5
群馬・利根郡みなかみ町

ノットアホテル ミナカミトウジ

NOT A HOTEL MINAKAMI TOJI

新しい湯治のかたち

photo:Kenta Hasegawa

2025年5月、群馬県みなかみ町に「NOT A HOTEL MINAKAMI TOJI」がオープンした。

NOT A HOTELは現在9つの拠点(別荘)が開業し、それぞれを世界的な建築家やクリエイターが手掛けている。オーナーになると、全国のNOT A HOTELの相互利用が可能になるシステム。MINAKAMI TOJI は、その7つ目となる拠点で、古くから温泉地として賑わいを見せていたみなかみの地で、“現代の温泉集落”のコンセプトを掲げている。
「非常に豊かな源泉が継続して湧く場所。みなかみの新たなお湯の魅力を我々が再発見して、現代だからこその温泉集落のようなものを作ろうじゃないか。そんなところから今回のプロジェクトが始まりました」

Photographs by Alex Mouton

NOT A HOTELプロジェクトマネージャーの齊藤有一さんは、TOJIに企画の初期段階から携わり、大切に育んできた。TOJIのヴィラでなんと言っても目を引くのは、リビングを囲むように配置されたインフィニティプール、水風呂、そして温泉。奥に進むとサウナもある。
「温泉であたたまったら水風呂に移ったり、最後はプールに浮かびながら語り合ったり……温泉に浸かるだけではない湯治体験ができるのがTOJI。そういった意味では『水』が中心にある建築だと感じています」

photo:Newcolor inc

銅板一文字葺で仕上げられた屋根と外壁は、神社仏閣を手がける銅板職人によるもの。銅板が少しずつくすむ経年変化を感じながら、長く愛してほしい……こだわりが詰まった建築には、そんな思いが込められている。NOT A HOTELとしては初めて畳敷きのベッドルームを採用するなど、新しい要素も取り入れた。

「旅館の原風景のようなところをあえて作りました。温泉に浸かったあと、裸足で畳の上を歩いて、ぬくぬくした状態でお布団に入る……そんな一連のシークエンスがすごく気持ちがいいじゃないですか。あの心地よさを『ホテル』と言いながらもちゃんと作り出せるか、というところは考えました」

photo:Kenta Hasegawa

オープンからもうすぐ1年を迎える。これからのTOJIについて、齊藤さんはいま、こんな未来を見据えている。
「やっぱり四季折々ずっと表情が違うんですよね。冬は白銀の世界が広がって、雪が降る中で、湯気がモクモクと出続ける温泉を楽しんでいただける。夏は夏で緑がすごく豊かな状態ですし、秋は紅葉が非常に綺麗で……いろんな四季を楽しんでいただけるような時を、オーナーさんや宿泊者の方々に過ごしてもらいたいです。将来的にはここがきっかけとなって、みなかみの町全体で新しい取り組みや、もっと人が入って来るような仕掛けを一緒に作っていければと考えています」


Text by Chako Kato

ノットアホテル ミナカミトウジ