赤ザオ族の風習と薬草文化
ベトナムの首都・ハノイから寝台列車と車で半日以上移動し、ようやくたどり着く村、ターフィン。ここには赤い布を頭に着ける「赤ザオ族」が暮らしている。
もともとザオ族は中国南部から移住してきたといわれており、ベトナムには他に黒モン族、ランテン・ザオ族、ザオカウ族、ダオコト族、と5つのザオ族がおり、それぞれ身にまとう衣装によって分けられている。赤い頭巾が目印のザオ族はその中でも特徴的。とくに女性がまとう衣装は、創造性や優雅さなど、彼女たちの内面が表れると考えられており、フリンジや銀細工など頭巾は装飾が多いほど美しいとされている。また、女性は結婚すると髪の毛と眉毛を剃り落とす風習がある。
赤ザオ族の人々は観光客にも友好的で、訪れれば村人の家のもとで、日常生活を体験することもできる。もちろん、薬草風呂にも浸からせてもらえる。家庭では月に数回はいるのが一般的。薬草の名前や効能は、女性たちが代々山に入り子孫たちに伝えてきた歴史がある。現在は森で収穫した薬草と、市場で購入した薬草の両方を使用しているそうだ。
赤ザオ族は1年の疲れを癒すため大晦日に入浴する習慣があるほか、女性は出産後に薬草風呂に入ると、すぐに身体の調子が戻るとも言われている。観光客にとっては、長旅の疲れと緊張を癒すのにぴったりな入浴になるかもしれない。
Text by Chako Kato
Photographs by Mineko Orisaku
ザオ族の薬草湯
- 〒 基本的に非公開
標高1600mに位置し、美しい棚田に囲まれている小さな村、ターフィン。かつてフランスの植民地だったことから、古い教会の跡が遺り、歴史を感じさせる。ベトナムには5種のザオ族がおり、ターフィンに住む赤い頭巾が特徴の民族は、通称「赤ザオ族」と呼ばれる。観光客は、村人の家に滞在して地元の日常生活を体験することもできる。2019年まではベトナム北部の都市、サパよりザオ族を訪ねるツアーが企画されていた。