湯道百選

29.5
長野・南木曽

Zenagi

Zenagi

『Wow!』をつくる仕事

2019年4月、「日本で最も美しい村」とも評される長野県南木曽町に古民家ラグジュアリーホテル「Zenagi」はオープンした。「日本の田舎を探検する」をコンセプトに、宿泊にはトレッキングやカヌー、パラグライダーなど、自然を満喫できるアクティビティの体験が組み込まれている。客室は「松の間」「宮の間」「紀の間」の3部屋のみ。部屋には、地元の南木曽の職人が手がけたそれぞれ意匠が異なるヒノキ風呂が備え付けられている。食事は、シチリア島のレストラン「bye bye blues」のパトゥリツィア・ディ・ベネディクト氏と、懐石料理「銀座うち山」の内山英仁氏が洋食と和食をそれぞれ監修。南木曽の食材の力を引き出した、まさにここでしか味わえない料理を三食堪能できる。



Zenagi Official Photo:上から順に「松の間」「宮の間」「紀の間」の浴槽。
いずれも、Zenagiのみのオリジナルデザイン。
 
食事は、メインロビーの一角に設えられた6席のカウンターで。
地元の食材を活かしたお料理に、地元ワインとのペアリングも完璧。

海外からの観光客をターゲットに据えており、現に客層の8割は外国人だという。
「メディアを含め、海外の方が、日本人でも知らないような日本の価値に気づき始めてくれていることが嬉しいですね。Zenagiで働きたい、またはこういう仕事をしたいと言ってくれる人、それから『視察をしたい』という声も増えました」
オーナーの岡部おかべ統行むねゆきさん。実は現役のテレビディレクター。主にドキュメンタリー番組制作に携わってきた。番組の取材で地方を訪れた際に「若者は都会に出て帰ってこない。畑も家も放棄される一方だ。自分たちの代でこの土地は終わりだ」と、田舎で生きることを諦める人の姿を何度も見てきた。何とかしたい、と言う想いがZenagiをつくる第一歩となった。そしてその一歩は南木曽以外の地方創生の道にも繋がろうとしている。

株式会社MENEX 代表取締役・Zenagiオーナーの岡部統行さん。

「南木曽の他にも、岐阜の飛騨高山や白川郷、富山の五箇山、金沢など、『本物の日本』がわかるような観光のゴールデンルートを作りたいんです。今は、田舎でも東京や京都よりも高いお金を払う価値があるんだということを、少しずつ実証しているところです。もちろん、地方創生自体は、まだ遠く厳しい道のりにあるとも思っています」
 
岡部さんはじめ、Zenagiで働く皆が好きな言葉は「Wow!」だと言う。
「毎日、小さなことも含めてどれだけゲストに『Wow!』と言ってもらえるかが勝負。スタッフにもお客さんに喜んでもらったり、感動してもらったり、驚いてもらうことが一番大事なんだと伝えています。僕たちがしているのは『Wow!』をつくる仕事だと思っています」

帰り際、岡部さんとZenagiのスタッフと一緒に。飾らない笑顔が印象的。


Text by Chako Kato
Photographs by Alex Mouton

Zenagi

  • 〒399-5303 長野県木曽郡南木曽町222
  • URL : https://zen-resorts.com/
  • 料金:¥120,000〜(1泊3食、1体験付き、1人あたりの料金/サービス料、税別)

「心を静めて身体を動かす」をテーマにした、わずか3室、定員12名のホテル。棚田を見おろず高台に移築された古民家には、静謐な空気が漂っている。一方で、モダンなインテリアが見事に調和しており、センスの良さを随所に感じられる。季節に応じたアクティビティが用意され、経験豊富なガイドたちがサポートする。各部屋には趣の異なる檜の風呂を配置。南木曽ならではの特別な体験ができる宿である。