新しい「禅」の体験。
1965年に、広島県福山市に建立した臨済宗建仁寺派 天心山 神勝寺は、福山駅から車を走らせて30分ほどの所にある。2016年には、五感を開放して禅の世界を体験できる「神勝寺 禅と庭のミュージアム」が誕生。
かつて修行僧のために作られた浴室はもちろんだが、他にも禅の世界を楽しめるのが食事。名物は、五観堂で食べられる「神勝寺うどん」だ。4と9がつく日「四九日」の昼食に出される、修行僧が唯一音を立てて食事をすることが許されていたのうどんなのだという。修行僧と同じく、長く太い雲水箸を使って食べる。
そして、さらなる名物が滋賀県永源寺から移築・再建した含空院で提供している「湯豆腐」。かやくご飯、半熟のゆで卵、油揚げと共に、1日20食限定で提供されている。鍋には1人あたり4枚の豆腐が泳ぎ、それぞれ形と込められた意味が違う。四角い豆腐は“囚われた心”。三角は、坐禅をする修行僧の姿(三角は2枚)。丸は何事にも囚われない、偏らない、こだわらない禅の心を表している。食事の中にも、禅寺ならではの工夫が込められているのだ。言われに沿い、豆腐は四角、三角、丸の順番で食べることが推奨されている。もちろん休憩場として甘味やお茶も堪能できる。
ミュージアムも併設されている、全国でも珍しいお寺。広報担当の山下鮎美さんに話を聞くと、「お寺をいろいろな角度から見てもらうのがねらいです」とのこと。さらに、「お寺をミュージアムと呼ぶことには不安もありましたが、参拝客の年齢層が若返り、何よりも神勝寺を知ってもらえるきっかけになったので良かったです」という答えも返ってきた。
神勝寺の面積はおよそ7万坪。境内全体を歩くと2時間半ほどかかる。アートに触れ、景色を堪能し、食事を楽しんだあとは、入浴。禅をあたらしい形で体験できる施設は、これから迎える紅葉の季節、ますます賑やかになるだろう。
Text by Chako Kato
Photographs by Takeshi Sato/ Koyuki Ueda
神勝寺 禅と庭のミュージアム・浴室
- 〒720-0401 広島県福山市沼隈町大字上山南 91
- TEL : 084-988-1111
- URL : https://szmg.jp
- 拝観時間 9:00−17:00(最終受付は16:30まで)
拝観料
大人:1,200円(1,000円)
学生(高校生以上):900円(700円)
中学生:500円(300円)
<浴室>
時間:10:00-16:00
入浴料:一般 800円
学生(高校生以上):600円
小中学生:400円
※タオル付
※6歳以下未就学児は無料