湯道は作法にあらず。
湯に向かう姿勢なり。
湯に浸かる・・・
あぁ、何て心地よく、何て幸せな時間でしょう。
入浴の魅力を日本人は本能的に知っています。
それはこの国で独自に育まれてきた入浴という行為が
人々の暮らしの中に文化として根付いているからに他なりません。
日常の当たり前となっている入浴という行為を
改めて価値あるものと感じ、それを一つの文化と認識すれば
わたしたちの生活はもっと豊かになると思いました。
お湯に浸かる幸せをもっとたくさんの人に知って欲しいと思いました。
日本の風呂文化を世界に発信したいと思いました。
そして2015年春、
京都大徳寺真珠庵 第27代住職の山田宗正氏の垂教を仰ぎ、
入浴をひとつの道と捉える「湯道」を立ち上げました。
湯を愛する人の想いは様々です。
温泉を極めたい人もいれば、銭湯を愛する人もいる。
自宅の風呂が一番落ち着くという人もいます。
そこに共通するのは、湯に浸かる喜び、湯に対する愛です。
果たして、どんな想い(姿勢)で湯に浸かれば
そこに最も価値が生まれるのか?
湯の旅を重ねることで、その答えが見つかるかもしれない。
そんな想いから辿り着いた企画が、この「湯道百選」です。
温泉、銭湯、家庭の風呂・・・
あらゆる風呂に浸かることで見えてくる気づき、学びを
「湯の記」としてここに綴ってゆくことにします。
平成30年晩夏
小山薫堂